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イベント event information

2015
Nov
08

第6回 プラクティカル デモンストレーション を終えて

資格管理・学術推進本部長 太田美也子

協会公式イベントとして今回で第6回目を迎えるプラクティカルデモンストレーション(=以下P.D.)が11月8日(日)に行われました。 P.D.に参加するAHTA有資格者は、日々、アロマハンドトリートメント講師として講座を開講したり、イベント活動やボランティア活動を精力的に行っています。まだ資格を取得したばかりで、これからアロマハンドトリートメントをどう活かしていくかを模索中の方もいらっしゃいます。

参加メンバーが、そのように経験値が様々なこともあり、P.D.のための練習会を合計4回設けています。初めて参加する方には2回以上の練習会参加をお願いしています。施術席のセッティングや準備に関して、そして当日の注意事項などを参加経験者の体験談も合わせながらお話します。また、参加経験者の方からは前回の反省点について、また改善するべき点はないかなどのご意見をお聞きしながら練習を行います。そのため、施術者同士でその経験を共有できるのです。当日は4~5名で1グループとなり行動を共にします。その際、当日“初めまして”と挨拶するよりも、事前に練習をご一緒することで当日の動きがスムーズになり、チームワークが良好になります。

実際の練習会では、車椅子を使って練習していきます。受け手は「身体に不調・不自由を抱えた老人」役を演じつつ、施術を体感します。車いすの不自由さ、窮屈さや身体が傾くことで起こる負担など、身をもって知ることはとても大切な事です。そのことを理解しないままでは、相手へのケアとしては不十分な施術になりかねません。どのように腕を支えたら受け手の負担にならないのかを考え、受け手の反応を見ながら行うことも練習での課題になります。想像だけでは実際の動きに結び付けるのは難しいでしょう。 この時、腕の支え方で、こんなにも受け手の感じ方に違いがでる」ということに皆さん驚かれます。受け手の腕だけを見るのではなく、身体の中心がどこなのかをしっかり確認することが重要になります。

こうして、練習会での様子を見ていると初心者と経験者の動きに大きな違いが見えてきます。それはもちろん経験を重ねたからこその“自信”な訳ですが、P.D.初参加者と参加を重ねた経験者について、石田智美さんと鈴村ユカリさんのご様子を取り上げながら綴っていきたいと思います。

初参加者《 石田智美さん 女性 》の場合

資格 AHTA認定プロフェッショナル
P.D.参加回数 2回目
現在の活動状況 協会公式イベント・練習会や講師主催のイベントに複数回の参加。
勤務する精神科病院の作業療法のプログラムでハンドトリート メントを取り入れている。
わたしにとっての
アロマハンドトリートメント
私にとってのアロマハンドトリートメントは、人と人を巡り合わせてつなぎ心のバリア を解かしてくれる大切なツールであるとともに、自分自身や受けていただく方の身心の バランスを整え医療の届かない部分を補ってくれる大切なツールにもなっています。

対人緊張がかなり高い私ですが、ハンドトリートメントを介すると、自然に関わりが持てるため緊張が緩みます。そして、身体に不調を覚えた時にもアロマのフットバス・ ハンドバス・吸入さらにセルフマッサージで驚くほど楽になりました。 アロマハンドトリートメントは、私の日々の生活に欠かせません!

石田さんは今回のP.D.が二度目の参加となりますが、前回はお手伝いとして、 施術者のサポートを行いました。お手伝いの役割は、施術の準備としてタオル やオイルを整える事や受け手の方への気配りを主として行います。サポート側 に回りながらP.D.としての会場の雰囲気や全体の流れを知っていただき、次回 の参加時に活かせる学びの場にもなっています。 石田さんは今回が初施術ということもあり、P.D.練習会に2回参加、協会主催 の練習会にも参加、そして協会本校『らぼぞう』での施術体験を受けられるなど 大変熱心に向き合っています。当日は施術者としての参加に大変緊張されながら も、焦らずゆっくりとしたリズムが保たれ、日々の練習の成果がしっかり出てい ました。

石田さん施術記録

1人目 施設利用者様・女性 / 歩行器を使用  
過去に右手の麻痺があり、治った今も可動域が狭い様子。表情は柔らかく、時々笑顔を 見せてくださる。
2人目 施設利用者様・女性 / 施設スタッフの介助つき移動       
目に見えて分かる不調は無い様子。
3人目 施設スタッフ様・男性       
入職されたばかりとのことで、緊張感、眼精疲労がある。

石田さんは、丁寧に施術をしているという印象でした。お1人目の利用者さんは、身体的に不自由がさほど無いという事もあり、いつもの練習と同じように施術ができたようでした。緊張感を持ちながらの施術のため、不安や心配もあるようでしたが、施術が始まり利用者さんの笑顔がみえると落ち着きを取り戻したようでした。 “笑顔”とは不思議な力を持っています。誰かが笑っていると、つられて笑ってしまう経験がどなたにもあると思います。アロマハンドトリートメントは相手を笑顔にし、その笑顔を見てまた他の人も笑顔になるという嬉し い相乗効果があります。施術者もまた、受け手の方の笑顔が自己肯定をさせ充実感を持つことに繋がります。 石田さんにとって難しかったのは、施術よりも受け手の方への接し方だったようです。

受け手の方の中には、耳が遠い、身体のどこかに不自 由を抱えている、認知の症状があるなどその時々に臨機応変に対応することが必要となります。そのため「どのようにお声掛けをするのか」が課題のように思いました。 お二人目は、スタッフさんの介助があるとはいえ、元気な様子が伺えまし た。そのため、椅子に座る時も背もたれにもたれず、背筋を伸ばして座って くださいました。でも、そのままでは受け手の方が疲れてしまいますね。 石田さんはゆったりともたれて座ってほしい気持ちを上手く表現できず、受 け手の方はその姿勢を崩しません。隣にいた私から「楽な姿勢で大丈夫です よ。」と声かけさせていただきました。すると、「ああ、そうなの。それなら助かるわ。」とゆったりともたれて座られました。

受け手の方にとっては、アロマハンドトリートメントと言っても、どんなことをするのか、自分がどうしたらよいのか分かりません。その方も「きちんと座っていなければ...。」と頑張って姿勢良くしてくださったのでしょう。施術者も初めは戸惑うこともありますが、こういった経験を機により一層柔軟性のある対応がしていけるようになると実感しました。

石田さんご本人の当日の感想

ベテランの先生方の中で私が施術をするのは、受け手の方のご迷惑になるのではないかと、直前まで 心配でした。
しかし、受けていただく方に感謝をして、自分のできる範囲で気持ち良く感じていただける施術をしようと心掛けました。
もっと経験を重ねて上達したいと思います。受けていただいた方 の笑顔に感謝します。

参加経験者 《 鈴村ユカリさん 女性 》の場合

資格 AHTA認定プロフェッショナル
P.D.参加回数 6回目
現在の活動状況 被災者支援ボランティアを数多く経験し、その経験から講演依頼など幅広く活動中。
協会公式イベント・練習会や講師主催のイベントに複数回の参加。
アロマハンドトリートメント講師アシスタントとして活動中。
アロマハンドトリートメント講師として2016年4月より活動
わたしにとっての
アロマハンドトリートメント
あの時、凍える避難所の床でしもやけに膨れ上がった子供達の手や足の指にホホバオイルと精油 でマッサージをして、先の見えない避難所生活の不便さや不安を少しでも和らげてあげたいという 一心でした。

背中をさすり、腕をさすり3人の子供達にかわるがわるマッサージをしていると自然に近くにいる人々が真似し始めた事を覚えています。あの鮮烈な経験を経て出会ったアロマハンド トリートメントは今も同じよう痛みを感じながら愛知県で暮らしている方々と自然と触れ合える ツールとしてなくてはならないものです。

「今日はどんな方とお会いできるだろう」といったご様子でP.D.を楽しみにしていた鈴村さん。
鈴村さんは、 過去に認知症が強く表れている利用者さんを担当することが多くありました。利用者さんに合わせた対応をそ の場その場で探っていき、焦らずじっくり向かい合います。そのため、施術がなかなかスムーズに始まらない 利用者さんの気持ちも上手くほぐすことができるように思います。

鈴村さん施術記録

1人目 施設利用者様・女性 / 自立歩行  
問いかけには返答されないものの表情はニコニコと穏やか。
施術中は手を繋いでいたがったり、よく動かしたりされる。
2人目 施設利用者様・女性 / 押し車を利用       
帽子を被っていておしゃれが好きなご様子。
お話し好きでよくおしゃべりされるが、周囲の様子を見ながらお話がよく変わる。少し落ち着きがないように感じたため、お手伝いの方に片方の手を握っていてもらう。
3人目 施設スタッフ様・女性       
仕事上、手を洗う回数が多く、手湿疹がお悩みとのこと。薬を使用中だが治らない。

施術の時間より、お話の時間の方が長いのではないかと思うほど、お相手の様子を察するという事に重きを置いているように感じました。鈴村さんは以前、施術はイヤと最初拒絶していた利用者さんを担当したことがありました。少しずつ少しずつ説明をしながら施術をしていきます。あれほど拒否をしていた利用者さんも話を聞いてくれた鈴村さんに心を開き信頼を寄せてくださったようで、結局、一通りの施術を終了することができました。

声のかけ方、接し方で利用者さんの気持ちが大きく変わり、最初のアプローチがいかに大切かという事がわかります。その後、施設スタッフさんからお話を聞くと、入浴の際にも同じような事が多いそうです。『お風呂に入りましょう。』『イヤ。』を繰り返すも、粘り強く話しかけ、時間をかけていくそうです。入浴の度に、そのようなやり取りがあると いう事でした。ただ、日々の生活の中では、そのようにゆっくりと時間 をかけられる時とそうでない時があると思います。一日は24時間、こ の時間はどうやっても増やすことはできません。本来、家族や身近な方 がアロマハンドトリートメントを覚え、介護に取入れていただくことが 望ましいのですが、私たちプロの施術者がその役目を担うことでお手伝 いができるように思います。鈴村さんはこの日も『相手の話をゆっくりちゃんと聞く』といった姿勢で施術に臨んでいました。

  いつも身近でお世話をしている方には、“忙しい”や“何度も同じ話を聞いている”ということから、その方のお話に手を止め、耳を傾けることまで余裕がないかもしれません。だからこそ、プロの施術者が傾聴しなが ら天然の植物の香りを漂わせ、やさしく温めながらのトリートメントをすることで、利用者さんの気持ちに変化をもたらすことができるのではないかと考えます。

鈴村さんご本人の当日の感想

アロマハンドトリートメントを通して、利用者様や施設職員さんとは3年のお付き合いになりますが、 改めて思い至るのは、アロマハンドトリートメントで結んだ絆のようなものを感じさせて頂く瞬間に出会うことができました。

使用者様のご様子はお会いする度に様々であり、施術の前後には利用者様の状態を 伺い、その上で施術者同士協力して、時には利用者様お一人に二人で施術にあたりながら、気になること はその場で共有させていただくことに結び付いてきました。毎回訪問させていただくことで一朝一夕に得 たものとは違う温かい関係を築いていきたいと願っています。

お二人の施術を拝見して私が感じたことは、施術者の心持次第で受け手の方の様子が変わるということです。 お互いに顔を見ながら、触れ合うというのは時間と共に感情をも共有します。そのため、施術者に不安や緊張が みられると、やはり、その想いが受け手の方に伝わってしまいます。ですから、否定的な感情ではなく、肯定的 な感情を持って接することを意識していきたいのです。 そのためには、施術の技術に自信がもてるよう、日々の練習を怠らな いことです。いつも慣れ親しんだ人との練習ばかりでなく、多くの方と 練習する機会があれば積極的に参加してみて下さい。そして、受け手の方に好感を持っていただけるような準備も必要です。

あなたの手は温かいですか?乾燥でカサカサしていませんか?施術者の手が温かく柔か いと「温かいねぇ。」と受け手の方のお顔がパッと明るくなります。日 頃から、自分へのケアも心掛け“好まれる手”を演出しましょう。施術に使用するタオルも柔らかく上質なものを用意します。柔らかな毛布 にくるまれると安心して落ち着くといったように、柔らかいものに触れ ることはとても気持ちよく、自然と笑顔になれます。そういった環境 作りも施術をスムーズにする重要な要素になります。 『自分が施術を受けるならどのようにしてもらいたいのかなあ?』の気持ちでシュミレーションしていくと多くの事が見えてくるのではないでしょうか。

私もボランティア訪問を始めたばかりの頃は、対応に困ることばかりでした。『家に帰りたいから一緒に連れ てってほしい』と言われたり、認知症で同じ話を繰り返される方に困惑したりしました。施術でも、寝たきりや拘縮、麻痺など様々です。そんな中で、施術に向き合う姿勢を自分なりに見つけていったように思います。 それは、“必要以上に気負わない。自然体でいる。”と思うことでした。お会いする前から否定的な事を考えず、一期一会の出会いを楽しもういう想いでした。対応に困るような場面も、どんなふうに切り替えそうかと考えていると、利用者さんの予期せぬ出来事も「おっ!そうきましたか。」と楽しくなってきたりします。きっと、私 が楽しんでいると利用者さんへの対応も丁寧で温かみのある施術として感じていただけるのではないかと信じ ています。もちろん、受け手の方の様子も細かく見させていただき、ご本人の希望を優先して対応していきます。

私自身、ショートスティでのボランティア活動が4年目を迎え、施設に慣れ親しんだという事も大きな理由です が、今では、利用者さんとのゆったりとした時間を過ごすことができます。3年目を迎えた頃からでしょうか、 施術を受けた利用者さんがご自身のお話をされながら涙されることが度々あります。私は、「うんうん。」と特に 意見を述べる訳ではありません。ただただ、手を握ったり、肩を擦ったりするだけです。 以前、わたしが施術をさせていただいたある介護施設の利用者のAさんについてのお話をしましょう。 Aさんは表情が険しく、どこか不機嫌さを感じる方でした。施術を受けたいとご希望されながら、「オイルは つけないで、腕も触らないで。手の平だけやって。」とちょっと威圧的におっしゃいます。タオルで温めてから と施術の説明をさせていただこうにも「わかってる。やったことあるから。」と取り合ってくれません。それな らばと、ご希望の手の平だけをさせていただきました。施術をしているうち、なぜAさんがそれほど頑なに おっしゃったのかがわかってきました。どうやら、自分に何か不調が起きると、お世話をしている娘さんに迷惑がかかると思っていらっしゃったのでした。「今も、娘には迷惑かけてばかりで、これ以上迷惑をかけられない。」 と涙を流されます。私はAさんの想いを聞いて、切なくなってしまいました。Aさんの娘さんやスタッフの方は ご存じなのだろうか・・と。ただの扱いにくいわがままな人に映っているのではないかと。施術の最後には、険 しかったAさんの表情も和らぎ笑顔を見せてくださいました。

ボランティア終了後には、いつも受付けのスタッフさんとお話します。その日、施術を受けた方の様子をお伝 えしたり、利用者さんの普段の様子をお聞きしています。この時も、Aさんの様子をお伝えすると、普段も同じ ような事がありました。その方は下着も変えたくないと言っては毎日同じ下着をつけているという事でした。 もしかするとそれはAさんが、洗い物が増えてしまうと、娘さんに面倒をかけると思われたのかもしれないとお伝えしました。「Aさんが、そんな風に思われていたなんて。」とスタッフさんも驚かれていました。その日は、 Aさんの娘さんがお見舞いにいらっしゃったので、私もお話しすることができました。娘さんにも同じ話をお伝 えすると、「まさか、そんな...。」と驚かれ、その続きの言葉がでません。しばらくして「今日は母にやさしく してあげられそうです。」とおっしゃり、お部屋へ向かわれました。

親子でも、近くにいても、気持ちが通じないことは寂しいことながら、 珍しいことではありませんね。言葉が少なければなおのこと理解できずに悩むこともしばしば。けれど、触れることで凝り固まった気持ちも穏やかに溶かし てくれることに感動をいただいた一日でした。皆さんがアロマハンドトリート メントを取り入れていけたら、お互いの気持ちの擦れ違いなんて起こらないよ うに思えてきます。 アロマハンドトリートメントをご存じない方はまだまだ沢山いらっしゃい ます。良さそうと思いつつ、日々の忙しさから取り入れていけないことも多い ようです。けれど、特別に時間を割いたりしなくとも、できる時にできるだけ といった手軽さがあるのもアロマハンドトリートメントの良さです。 そして、この良さをAHTA会員の皆さまが広く普及するべく活動を活発にしていただけることを願っております。介護や看護の現場でも、AHTAのアロマハンドトリートメントを待っている方がいらっしゃるのではない でしょうか。会員の皆さまの技術向上、経験値を高めるお手伝いができるよう今後もP.D.の活動をはじめ、さまざまな活動に取り組んでいきたいと考えております。

2015
Jun
21

第5回 プラクティカル デモンストレーション

プラクティカル デモンストレーションのはじまり

プラクティカルデモンストレーション(P.D.)は、今回で5回目を迎えます。毎回同じ有料老人ホーム 様へ訪問していますので、施設では毎年2回の恒例行事となっています。前回のP.D.から半年以上空けての開催となった5回目は、施設長様より「待ちに待ったアロマハンドトリートメントです。」とのコメントをいただき、私たち資格者がプロとしての対応ができている証拠ではないかと嬉しく思っています。

この活動を始める際に、活動名を付けるにあたって意識したことがあります。それは、カリキュラム の過程における実習ではなく、プロとしてのキャリアアップの場であるということでした。そのことを 踏まえ、Practical(=実践的な)、Demonstration(=活動) となったのです。 P.D.参加者はインストラクター以上の資格者が参加条件として挙げられ ています。ただ、日々ボランティアやイベントに参加したり、講師として 活動していたりと経験値が様々です。もちろん、このP.D.がボランティア 初参加となる方も多くいらっしゃいます。そのため、練習会や打ち合わせ を行い、各々の経験・知識を伝え合う時間を設けています。そして、当日、 皆さんが臨機応変に対応できるよう「車椅子の施術は?」「途中で眠って しまったら…」「認知症などで落ち着かないときの対応は?」など様々な “どうする?”に対して話し合い、より良い案を探ります。 私は、二週間に1度、ショートステイにて施設利用者様にアロマハンド トリートメントをさせていただいています。定員は四名様です。スタッフさんからは、一人の施術を短くしてたくさんの方に施術してほしいという希望もありましたが、お一人ずつ丁寧に対応したいとの気持ちをお伝えし四名様としました。私ともう一人の施術者で、お二人ずつ施術します。施術途中で眠ってしまわれる方は多いです。それは施術を心地よく思っていただいているからと安心しています。また、認知症で何度も同じ話をされる方も多くいらっしゃいます。その場合は、根気よく話をお聞きします。そして、そのお話をヒントにその方の楽しかった頃や、どんなことに興味があるのかなどを探して話題を振ってみると嬉しそうにお話してくださったりします。

またある時は、利用者様の悲しみに寄り添うこともあります。施術の途中から「本当は家に帰りたい。」「息子には迷惑をかけたくない。」と涙ながらに打ち明けてくださいました。私は頷きながら話を聞き、ただただその方の肩を擦りました。少しすると落ち着かれ、「分かっているから大丈夫よ。」とニコリと笑顔になりました。その方の心のモヤモヤが解けたようで、寄り添うとはこういうことなんだと実感できました。このような活動を始めて、もうす ぐ3年が経ちます。まだまだ迷うことも沢山ありますが、誠実に接することを忘れずにその時間を大切にしています。 どんな状況でもその答えは一つではなく、施術者の数だけあるのではと思います。ですが、想像だけでは答えは見いだせず、実際の経験がその次の経験に活きることを強く感じています。受け手に寄り添い、共感する。それを理解するのも経験あってこそですね。資格を取得し、その資格を活かす術に迷っている方にもP.D.に参加することで、その先を見つけていただく機会になればと考えています。

プラクティカル デモンストレーション当日

6月21日(日)に行われたP.D.参加者は、施術者14名、お手伝い6名、撮影係1名の合計21名 でした。梅雨時期という事もあり天候が心配されましたが、集合時間には雨も上がりトラブルもなく、 施設へ移動しました。参加者は、手洗いうがいを済ませ控室で待機です。アロマハンドトリートメントを行う場所は、100㎡は超える広いダイニングルームです。ご利用者様にとって、移動の負担が少しでも軽減されるようそのお部屋の半分を使い施術場所を設置します。

13:40

ダイニングルームでの昼食時間が終わり、施術の準備に入りました。 開始までの20分で、テーブルと椅子の調整、タオルや必要なものの セッティングを始め利用者様をお迎えする用意をします。タオルは、 一枚一枚を丁寧にたたみます。受け手の方に気持ちよく施術を受けて いただくには、見た目も非常に大切です。特に、女性の利用者様は、 施術者の身なりも気になるようです。綺麗なものにとても興味を示されます。例えば、服やアクセサリー類などについてお声をかけてくださるので、やはり女性は年齢に関係なく、華やかな物がお好きなのだと感じました。そのおかげで、お話のきっかけができたり、会話が弾んだりします。必要以上に華美にする必要もありませんが、清潔な印象を与えるように意識することも大切です。もちろん、タオルも新しいもので揃えたいですね。

施術の支度が整ったら、自分の呼吸を落ち着かせ気持ちを楽にして利用者様をお迎えします。緊張感は受け手に伝わってしまいます。平常心で臨めるよう、自分が好きな香りを常備しておくのも良いでしょう。 この日のトリートメントオイル30mlの内容は、スィートアーモンドオイル15mlとアプリコットカーネルオイル15mlのブレンドです。精油はオレンジスィート2滴とフランキンセンス3滴です。高齢者への肌馴染みも良いです。またレメディは「命のレメディ」を選択しました。緊張を緩め、呼吸を深くゆっくりとさせるようブレンドしました。



14:00

施術スタートです。一番に来てくださった利用者様は、準備前からすでにダイニングルームにてお待ちいただいていました。こちら男性です。以前にもお会いしたその方は、「こわいわー」が口癖でいらっしゃいます。初めての施術では、その言葉に敏感に反応して心配になりますが、口癖だという事が理解できると施術者も安心して施術でき、時には気遣いながら言葉を返すことができたようです。このように、受け手の方の状態を見ながら察することで、施術がよりスムーズになり受け手の方にもストレスなくその時間を過ごしていただけます。

今回、受け手の方の合計人数は36名様。そのうち、利用者様が27名、スタッフ様が9名。利用者様の内訳として、セットした肘掛椅子に座られた方14名(自立歩行の他、杖、手押し車の使用やスタッフさんの介助有など)、車椅子11名、個室2名でした。施術場所の セッティングでは、比較的広く場所が取れるダイニングルーム入口 付近を車椅子の方専用としました。さらに経験豊かな施術者が担当 する予定で準備をしていましたが、実際に想定していたより多くの 車椅子利用者様がいらっしゃいました。そのため、急きょテーブル や椅子を移動させ場所を広く取るなど対応に追われ、お待たせする 時間ができてしまいました。お待たせする時間が長いと、お部屋に戻ってしまわれるなどの心配がありました。実際には、スタッフさんが声掛けをしてくださり、その場を繋いでいただきました。施術中もスタッフさんの対応から学ぶことが沢山あります。

ある60歳代の女性の利用者様は、若年性認知症で何かを掴んでいないと落ち着かないとのことでした。スタッフさんに支えられながら椅子に座ります。担当施術者が「こんにちは」と挨拶しながら顔を近づけると、その女性はスッと手を伸ばし施術者の頬をつまもうとします。スタッフさんが予想してい たように直ぐにその女性の手を握ります。その女性には、身体を支えるスタッフさんと手を握っている スタッフさんの二人が付き添っていました。そのため、施術中は施術をしていない方の手をスタッフさんが握ったままで進めていきました。利用者様ははじめ落ち着かない様子も見られましたが、施術が進むにつれて顔の表情が緩んでいくのがよくわかりました。グッと握っていた手も幾分か緩くなっているようでした。日頃、どれほどの緊張状態なのでしょうか。常にかかる身体へのストレスを思うとアロマハンドトリートメントで温め緩めることが助けになっていることを感じました。

また、施術をなかなか始められない場合もあります。認知症があり、知らない人、知らないことに不安を覚えていらっしゃるようです。「嫌だ、やりたくない。」と言われたらどうしましょうか。本人がそう言っているのだからやめた方が良いですか?もちろん、無理強いする必要はありません。ただ、その不安を取り除いて差し上げたり、頑なな気持ちをほどいて受け 入れていただけるようにお声を掛けることも忘れずにいたいと 思います。少しずつ少しずつ手技を試しながら受けていただく。 これを繰り返し根気よく続けてみましょう。受け手の方の表情 が変わってきたときには、受け入れていただけたことの喜びと 達成感を得られると思います。

以前、介護施設での6ヶ月レポート校外実習で生徒さんの面白い対応がありました。受け手である 施設利用者様がとても快活にお話されています。どんなお話をしているのかとおそばに寄ると、生徒さんからの悩み相談にその利用者様がお答えしているところでした。やはり人生の先輩です。頼られることに心地よさを感じてくださったようでした。通常は、施術をしながら悩み相談を施術者が受けると関連しやすいですが、逆に相談を持ちかけるという発想はとても新鮮でした。生徒さんにとっては緊張から意識せずに出たことのようでしたが、功を奏し、利用者様から「またあなたを呼びたいから、名前を教えてちょうだい。」とメモを渡されました。施術前の利用者様は、少し気難しい表情をされていましたが、施術を終える頃にはとても気さくに接してくださり、“共感”という事をお互いに感じ取れたことの表れと感じました。

15:00

ダイニングルームでの施術とは別に、個室での施術のご要望も受けていました。当日にお一人追加で、 お二人を個室にて施術しました。担当は私と小竹山先生です。補助に一人ずつ入っていただき、二人一組で個室にお伺いしました。スタッフさんにもお一人、付き添って いただきました。私が担当した女性の利用者様は死期が近づいてい るとのことで、事前に、P.D.当日もどのような容態であるか知りえ ないとの話を受けていました。緩和ケアとしての施術が上手くでき るだろうかと心配もありながら、ぜひ施術したいとお会いできるこ とを祈っていました。

半年ほど前、定期的に訪問しているショートスティにて同じように緩和ケアの依頼を受けたことがありました。その時は、訪問日が近づいたころに施設より連絡が入り、その利用者様が亡くなられたことを聞きました。一度、施術をさせていただき、また一ヶ月後に来ますとご挨拶をして、そのままお会いできずにお別れとなりました。当時は“一期一会”という言葉の重さを受けつつ、とても悔いが残りました。そういったこともあり、この個室での施術依頼は私にとって非常にありがたいことでした。

当日お部屋では壁につけてあるベットを少し移動させ、左右両側から施術ができるように場所を空け べットガードも外しました。そして、ベットを半座位まで上げた状態で、施術を始めます。「こんにちは。」とご挨拶すると反応してくださいますが、声を発するのがご負担のようで小さな声でお返事いただきました。お身体の様子は、顔に多少むくみがあるかというほど。顔色もさほど悪くありません。腕の関節に拘縮が見られ(特に左腕)、腕を伸ばすことはできませんでした。練習会で木之下理事長から緩和ケアについてご指導いただきましたので、そのように“温めること”を丁寧にしっかりと施術していきます。

まず、タオルトリートメントです。腕と布団の間にバスタオルを一枚敷きます。そして、腕用のタオルは腕の下に敷き下から腕を包み込むようにします。いつものように圧を加えるのではなく施術者の両手で受け手の腕をしっかり温めます。次にトリートメントオイルを塗布していきます。お肌はあまり乾燥を感じないながら、オイルはどんどん吸収されていきます。その都度オイルを足します。手の平に触れた時の温かさとは反対に腕はとても冷えていたこともオイルを良く吸収 した理由と思われます。使用したオイルは、先に紹介したトリートメントオイルと同じです。

そして、今回一番難しいと感じたのが手の平でした。開かない、動かせない状態のため、腕はそのままでできる範囲のことを行いました。手の平甲側よりオイルをたっぷり塗布します。手の平全体を温め、頭部の手技を行います。結果、手の平でできた手技はそれだけでしたが、丁寧にオイルを塗布したこともあり施術時間は10分ほどでした。準備、片付けをあわせると15分ほどの時間となりました。施術後にスタッフさんの「どう?気持ちよかった?」との問いかけに、利用者様は「うん。ありがとう。」と答えてくださり、私もとても安堵しました。そして、私にとってまた新たな課題が見つかったように思います。 いつも練習しているような態勢でできない方にとって、アロマハンドトリートメントをいかに身体に負担無く受けていただけるかという事です。

アロマハンドトリートメント講座でも、受講して下さる方の中で脳に 障害があり寝たきりのお子さんをお持ちのママさんがいらっしゃいます。 起きている時はじっとしていられない為どのようにしたらよいかなどの 質問がありました。私は、「一つの動きから試してみてはどうか。」とご 提案しました。手技のどれかが気に入れば動かずに受けてくれるのでは ないかという思いでした。最初は遊びとして取り入れてみると良いと思います。

アロマハンドトリートメント施術を終えて

16:00

ご利用者さまが一通り施術を受けられたあと、仕事の空いたスタッフさんが順次、施術を受けられ、この日の施術は終了となりました。スタッフさんからの感想として「また、仕事が頑張れる。」といった前向きなお言葉をいただきました。そのお言葉がまた、施術者の励みになってくれます。意識してのことではなくとも、結局のところ施術者と受け手、お互いに励まし合うというプラスの思考が巡ります。

施術者もまた一日やり終えた充実感と安堵感を持ちながら、 最後のお仕事である“お掃除”を入念に行います。テーブル、 椅子の配置を元通りに直し、オイルがついていないかを確認 します。日頃から、理事長のお言葉にある「教室は借りる前 よりきれいにしてお返しすること。」のスタイルで、テーブル や椅子、床にいたるまで丁寧に拭きます。掃除で出たごみも 回収して、すべて終了です。

今回は、参加者みなさまにP.D.参加の感想・反省点を記入していただきました。片付けを終え、時間があまり無い中、アンケートへご協力いただきありがとうございました。それぞれの声を直接聞くことができ、施術中の様子を伺うことができました。皆さまの一生懸命さが伝わってきました。その中からいくつかご紹介すると、以下のような言葉がありました。

【 参加者の回答例 】

  • 施術を受けた方の表情がやわらぐ様子がわかり、アロマハンドトリートメントの良さを実感 しました。(インストラクター・お手伝い) 
  • 緊張してのスタートでしたが、最後に「受けてよかった!」と言っていただき、参加できて よかったなと感じました。(プロフェッショナル・施術)
  • 腕がパンパンに張っていたスタッフさんへの施術。施術後に腕をさわっていただいて、柔ら かくなったことに驚かれ喜んでくださいました。(プロフェッショナル・施術)
  • 最後に「ありがとう」と言われ嬉しかった。気持ちに寄り添うことができたと思えました。 (インストラクター・施術)
  • 自分の向き合う姿勢、気持ち、内面がお相手に伝わることを意識して、臨機応変とまごころを 大切にしました。(プロフェッショナル・施術)
 

参加者みなさまの緊張、笑顔、真剣、楽しむ、真面目、朗らかなど、いくつもの想いが合わさり、受け手の皆さまとの和みの時間として素晴らしいイベントであったと思います。皆さまにおかれましても、今回の経験を活動につなげていただき、また、次回のP.D.でもお力をお借りしたいと思います。 次回、第6回P.D.は11月8日(日)に開催されます。新しいメンバーも加わりつつ、今回の反省点を活かしながらより良いイベントとなるよう力を注ぎたいと思います。 皆さま、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

2015
May
26

園児午睡中の保育士さんへの施術会。
しばしの休憩に、気持ちよくてうとうとする方続出。 「また来てください」と大好評。

実習日
2015年5月26日
実習場所
東京・稲城市 「社会福祉法人厚生館ひらお保育園」さま
実習生
石山志穂・佐々木紀子・成田愛子・横山卯美

横浜支部6monthレポート実習、今回は、東京都の保育園にお邪魔しました。 園児の午睡中に設定された休憩時間を利用して、基本のレメディにエフルラージュを 組み合わせた お一人15分ほどのショートトリートメントでしたが、目を閉じてうとうとする先生方も。

日頃お疲れの保育士さんに、リラックス&リフレッシュしていただくことができまし た。 園内は、会場となった暖かみのある木造のホールや、あちこちに設けられたウッド デッキなど、その魅力的な環境は、同行の支部長をして「私、ここで保育されたい」と言わしめる ほど(笑)。 可愛い笑顔にもたくさん出会え、いろいろな意味で風通しの良さを実感する施設でした。

保育施設の福利厚生の例としては、休憩中の整体師による施術などもあり(他園)、 また、お迎え前の保護者の方への施術も考えられるなど(別途計画中です)、 今後も、需要の大きな、アロマハンドトリートメントの可能性を感じる施術場所でした。 何より、園児の皆さんと先生とママさん達の笑顔のお手伝いができるのが嬉しいですね。

2015
Apr
23

快適な暮らしを提案する小田原ガス様とのコラボ。
陽光さす空間での施術、キッチンスペースでのハーブティーも大好評。

実習日
2015年4月23日
実習場所
小田原ガスショールーム「エコリア」さま
実習生
石山志穂・佐々木紀子・成田愛子・横山卯美

横浜支部では、6monthレポートの実習にあたり、毎回、新しい事業主様との可能性を 模索しています。

今回は、箱根の玄関口「小田原」にて、小田原ガスショールーム「エコリア」さまを お借りして開催。
施設との交渉・打合せ・施術内容などに至るまで、受講生が主体となって計画しました。 当日は、全面ガラス張りの、開放的な居心地の良い空間を活かし、 施術後のブレンドハーブティーまで、ゆったりとした時間を演出することができました。

こちらの施設では、他にも、お料理教室やアロマテラピーレッスンなど、 QOLの向上に着目した楽しいイベントを開催しており、コンセプトにぴったりと大好 評でした。
近隣の別館ではミストサウナの使用も可能とのことで、 次の機会には、よりキャリアオイルの経皮吸収力upを狙った施術会が実現するかもし れません。

社団法人アロマハンドトリートメント協会 Aroma Hand Treatment Association
名古屋市天白区元八事3-352  【営業時間】 9:30~18:30   【定休日】 日曜日
tel: 052-861-0124 mail: info@ahta.or.jp